「新婚のいろはさん」by ÖYSTER まんがタウン 2020年9月号p48 双葉社
「知っていること・知らないこと」と「思い出すこと・思い出せないこと」について、私の脳内で強力に結びついているのが「石原莞爾」という人物のエピソードです。強力とかいいつつうろ覚えだったりするんですが、概要は…
戦後、GHQだかが戦犯容疑で病床の石原の尋問に来たときのこと。
いろいろ過去の出来事について問い詰められ、それぞれについて自分の知っていること、記憶していることを答えていく莞爾。
とある事案について、莞爾は「知らない」と答えたが、尋問する側は納得しない。
尋問が終わり帰り際、尋問していた男が「次来るまでに思い出しておくように」と言って部屋を出ようとすると、横たわったままの莞爾が一喝。
「知らないことを思い出せとは何ごとか!」
その迫力に男は平身低頭して帰ったという。
本で読んだ話なのですが、多少記憶が錯綜しているものの概ねこのような内容だったかと思います。
尋問者は「知っているのに知らないふりをしている」と思い込んでいたので「思い出すように」という言葉が出たのでしょうが、真摯に答えている莞爾には、それが許せなかったのでしょう。
こういう例は私たちの日常にもときどきあるような気がします。人との相対し方の基本として「真摯さ、真剣さ」そして「誠実さ」を大事にもっていないといけないなと感じさせられますね、個人的には。
まあそういう話は長くなるので(脱線するので)置いときまして「いろはさん」。
今回の「類語を10個上げていく」というのは目からウロコでした。シソーラスなどとも言われますが、いろんなものの「言い回し」が上手な人は「基礎的な教養の深い人」だと思います。何をどうすればそうなれるかは、私自身がそうでないので分かりませんが、少なくとも「読むこと」と「書くこと」をしっかりやらないと身に着かないのは確かでしょうね。
このあと、ベッドでの始君といろはさんのやりとりも、モノすごく何というかスバラしく尊いのです。「気持ちのサイズ」という表現も秀逸なのです。今回のは何巻になるのか分かりませんが、単行本になったらぜひ多くの人に読んでほしいエピソードですね。