「あっちこっち」by 異識 まんがタイムきらら 2020年3月号 p68 芳文社
若い頃だと、それほどでもないことで「あー!もうだめだー!もうむりだー!たすけてくれー!おしまいだー!」などとなるものなのですが(私だけか?)、いろんな場面に出くわしいろんな経験を重ねると「あーまーこれくらいどうにかなるっしょ。だめでもともと、なるようになれ」と、トラブルやアクシデントを受け流せるようになってきます。
むかし「SHOGUN」というバンドの「男たちのメロディー」という曲に「運が悪けりゃ死ぬだけさ」という歌詞がありましたが、年を取るとちらほら同期に死ぬヤツも出てきたりして「自分もいつ死ぬか分からないな」と思えるようになってきますから。
別に死にたいわけじゃないけれど、死ぬことへの気構えが変わるというか、第4コーナーを抜けて直線上にゴールが見えた瞬間に、ある意味いろいろ考えたり悩んだりするのがバカらしくなるのは確かだと思うのです、個人的には。
逆に、そのあたりの年齢になっても「オレまだ何もしてない!?」と思う人は、たぶん焦るんじゃないかな?上手くいってもいかなくても、壁にブチ当たったことが多ければ、人生に「焦りは禁物」、いや「焦ってもムダ」だと悟れる気がします。
まぁそんなこんなで「あっちこっち」。たまに休載はあるけど載ってるときはいつも良作ですよね。絵柄はかなり変化してきてますが、昔のも今のもどちらもスキです。最近「ゲーメスト」という別の出版社の作品も読んだのですが、なんというか「安心して面白い」というのは、この作者さんの美点ですよね。
しかしホント学生時代の仲間同士の会話を描かせたら天下一品。よく「キャラが勝手に動いてくれる」などと言いますが、ネタ出しのときは脳内でこの5人が勝手に話を作ってくれてるんじゃないかと思うほどです。休載を挟んでもいいので(いや良くはない)長く連載が続いてくれるといいなぁ。