全盲の人が想像する世界に興味があります。

「ユメイロ」by 空くれない まんがタイムきらら 2024年10月号p96 芳文社

 

「興味」というと「興味本位」みたいなネガティブ感があるんですが、かといって「関心がある」というのも少し違う気がします。そう、やはり「興味」ですたぶん。

特に「音や匂いや感触が無いもの」を、脳内でどういうふうに処理しているのか、どういう存在としてつくり上げているのかに興味があります。このヒトコマの「空」もですが、個人的には「色」をどういう概念で捉えているのかを知りたいなぁ。

こういうことを書くと「目が不自由な人を馬鹿にしている」と怒るヒトが出てくるんですが、そういうつもりは全くありません。念のため。

じゃあ何で興味があるかというと「ある特定の感覚を持たない人」がその補填をするときに「どういう処理を選ぶのか」を知ることで「私たちがそれと同様の処理をしてしまっているもの」について「センサーがあれば正しく捉えられるはずの何か」の存在を想像することができる…ということなんですよ。うーむ、上手く言語化できてませんが。

オカルトばなしをしたいワケではありませんが、あの「霊が見える」というヤツなんかも、そういう「特定の感覚」だと思えばアリなのかも…とかね。

例えば嗅覚というのが「普通は持っていない感覚」だったりすれば、焦げ臭いニオイで火事に気付くことも出来ませんしガス漏れなんかも分からない。一方で「無害ではあるけど不快なニオイ」に対しては、嗅覚の無い一般人は何も感じないけれど、その感覚を持っていると「ひどいニオイに耐えられない」ということになってしまう。

「興味がある」というのは、そういう「感覚の有無」がもたらす「何か」を知りたい、知るための手掛かりにしたい…と言い換えられるかもですね。

 

 

…あんまり続けても読んでもらえないだろうし、何かを声高に主張したいワケでもないのでここらへんにして「ユメイロ」。ときどきゲスト掲載される「空くれない」さんの作品です。

作者さんとの邂逅は「見えぬ明日も一歩から」というキャラットでのゲスト作品でしたが、それも「盲目の少女とその友達」のオハナシでした。内容も画風もすごく惹かれたんでヒトコマお借りしたんですが、それから3年ぶりに再度「盲目の少女とその友達」…といっても続きではなく別のオハナシになります。登場人物なんかも違っていて、グッとファンタジー寄りです。

前もそうでしたが、盲目の人物を「目を閉じさせずに=目を開けた状態で」描いているのが強く印象に残ります。いかにも「盲目です」という表現をしない。そういうところに何故か惹かれるんですよね。

今回も「読切ゲスト」なんですけども、この作者さんならではの「読後感」があって良かった。連載陣に加わってほしい気持ちもありますけど、案外「読切~数回ゲスト」の方が作者さんの強みを生かせるのかもしれません。ともあれ、再登場をお待ちしております。