「リリカお嬢様に振り回される!」by メイス まんがタイムきららMAX 2022年9月号p178 芳文社
「自由を制限されている」ことは、第三者の視点からだと「幸福ではない」と見えるのかもしれません。でも「自由であるか否か」は外から定規を当ててみることが出来そうですが、「幸福であるか否か」はそれが出来ない。個人的にはそう思っています。
ちょっとヒネた考えかもしれませんが、他人に対して「マウントを取る≒優位に立つ」ことで幸福感を得る人たちっているじゃないですか。いや誰しも多少なりともそういう部分をもっていると思います。どれほど客観的に不自由な状況下にいても「自分がマウントを取れる対象」がいれば「幸福でいられる」というね…。江戸時代の封建社会下での身分制度とかは、それをズルく使った例です。被差別民をつくるのですよね。
一方で、一般的に「価値ある」とされる「自由」に、そもそも価値を見出さない人たちもいます。不自由な環境と思われる中でも、それで十分に「足りている」と感じ、特段「不幸だと意識しない」人たち。
そういう「不自由でも十分幸せ」という人たちに向かって「不自由を強いられてるわ!なんて不幸な人たちなんでしょう!」というのは、私的には「マウント」に感じたりします。
不自由を打破して自由を得たとして、その先に幸福が待っていてくれるかどうか…。自らの強い意志で自由へ走り出した人はともかく、一部の「不自由は不幸、自由にしてあげれば幸福になる」とばかりに、自由という「広く深い海の真ん中」にいきなり裸で放り出すような方々は、あまり好きになれないんですよね。いえ別に「鮫に喰われてしまえ」とまでは言いませんけどね。たとえ思ったとしてもね。
このハナシをもう少し続けようかとも思ったのですが、わざわざネガティブな文を書き連ねる必要もないことに気付いたので…「リリ振り」です。あれ?これが初のヒトコマ借用ですか。我ながら意外ですな。
連載当初からかなりの注目株だったんですが、一年経過して改めて読み直すと…やっぱ上手いわこの作者さん。最初から「スペシャルゲスト」とあったんで、結構知られた存在だったんでしょうか。すいません不勉強で。
ともあれ、永野さん休暇に伴うヘルプのオバサンが絶妙に「いわゆるいい人だけウザい」んですが…多いよねこういう人。「なんでも言ってね」って言いながら、何も言えない雰囲気をつくってたりするんだよね。まあ本人に悪意は無いんでしょうから…でもそれがまたウザみを増してきたりね。
リリカお嬢様の親もなかなかです。フォアグラ?キャビア?…とりあえず「高いもので」ムスメへの責任・役目は果たしたことにするタイプなのかな。よくわかりませんが。
でもやっぱり永野さんが一番リリカお嬢様を解ってあげられてるわけで、そこには「不自由≠不幸」という思考が根底にあるんだと思います。いいね。
さておき、作者さんのTwitterをフォローしてるんですが、ときどき「年寄り上司に悲惨な目に遭わされてる」ツイートが上がってたり…。お気の毒さまな気持ちと同時に、私自身がそういうジジイ上司になっていないか、我が身を振りかえらさせられます。