「ヲトメは義母に恋してる」by 桐原小鳥 まんがホーム 2022年5月号p102 芳文社
もちろん、やみくもに人に苦労をすすめることはないです。その「目に見えている苦労」がその人の人生にとって「負債」にならない保証もありませんし。だから鈴パパの寿々さんへのこの言葉はほぼ100%正しいと思います。
でも、私個人の経験でいえば「(自ら望んだ)普通ならしない苦労」は、ほぼ100%自分の人生の「ほかでは得られなかったであろう大きな資産」になっていると、この年齢になってみて強く感じるのです。
「若いころの苦労は買ってでも…」などといいますが、少なくとも「苦労に打ち勝つパワー」があるうちに「一戦交えておく」と、自分の中に自信が湧き上がってくる気がします。たとえ負けても、決してマイナスだけでは終わらない…あ、いやその苦労で人生ジ・エンドじゃいけませんけども…。
そんなわけで、熟考は必要ではありますが、ただの「苦労を避ける」だけで歩んできた人生を良しとしない姿勢は、個人的には持っているつもりです。併せて「根拠のない自信」が私の信条なんですが、その発生源はおそらくこの「自ら望んだ」「普通ならしない苦労」との戦いだとも思うのです。
確かに「越えられないヘヴィな苦労」もあったわけで、それに負けたことも何度もありました。でも「しなくても済む苦労」だったとはいまでも思ってないんですよね。そう、幸いにもほとんどの苦労は「そもそも自分で望んだ苦労」ですから。
…そう考えると、親や周囲の人間が「その人をおもって苦労から遠ざけてあげる」のは、良いことをしているようで逆の作用になっている気がします。本人が望んでいるのに「苦労を選ばせない」のは「先々の障害物を超えるトレーニングを妨害している」ことになるのかも…そう考えるのです。
もうちょっと深堀りしようかとも思いましたが脱線しそうなのでここらで「ヲト恋」の話に戻りますね。
なんとなく「じわじわとエンディングに近づいている感触」も見てとれる今回ですが、正直「落としどころ」が見えないんですよワタシの読解力では。いえそれが悪いことだというのではなくてね。
それにしてもホントに良い作品です。そう感じる理由のひとつは、たぶんこの作者さんの過去の作品から読んできているからかもしれません。これまで全く接点の無かった読者だと、この作品の感触っていま私感じているのと違うんじゃないかな。
一貫して…というと語弊がありますけど、基本「家族」がテーマの作品で、その「感触」がとにかく秀逸です…って何度も書いてますねこれ。
さあ、次回はパパさんがどうするか、どう動くかが焦点ですな。楽しみです…いやしょっと「大丈夫だろうか」的不安もありますけれども。