「mono」by あfろ まんがタイムきららCarat 2020年9月号p45 芳文社
かき氷だって「ピンからキリまで」あるわけで、素朴な「家庭用かき氷器で削った氷に市販のシロップかけただけ」を否定する気はなくても、有名店のスペシャルなかき氷とかはまさに「次元が違う」と認めざるを得ないというヤツです。
「食べ物にあれこれ言うのは男らしくない」という世代の一番最後の方に位置する自分ではありますが、それはあくまで家庭料理についてのことであって、対価を受けて提供するプロの料理については「価値に見合うものか」を厳しく問うてもよいと思っていたりします。まぁそう言いつつもたまに矛盾する言行はありますが。
日々の食生活は「不都合が生じない程度に栄養と味のバランスがとれていればよい」のではないでしょうかね。一方で、お店で食べるスペシャルな料理には「驚き」や「感動」があってほしい…などと思っています。それは「味覚を創造する料理」でも「素材を味わいを生かす料理」でも同じじゃないかな?真摯に食と向かい合う料理人だけが生み出せる味というのも、きっとあるはず…そう思うのです。
ただ、そのためには「味わう側」にも求められる矜持というか、いわば「真剣勝負に臨む覚悟」みたいなものは必要です。どちらかがからまわりするようでは、意味が無いと。だから相撲でいう「がっぷり四つに組む」姿勢が求められるべきだと強く感じます。もちろん、ものごとにはタイミングというものがあって、立ち合いがどうにも合わないことはあろうかと…。
なんかそういう話になると深入りしそうなので取り急ぎ「mono」。居住こそしたことはないのですが、山梨(甲州)という土地には縁も思い入れもあったりします。いえまあ仕事やら何やらで行けば、日本中あちこちに縁も思い入れも出来ちゃってますが。
あfろさんといえば代表作は「ゆるキャン△」なんでしょうけど、なにげにこの作品はそれを凌駕する魅力がちりばめられているように感じています。作者さんはあえて同時期に芳文社というフィールド上で「三遠甲信エリア」を舞台にした作品を並行して進めてますが、両者の似たところ違うところ、それぞれの魅力がイイ意味でプラスに作用しあっていると思います。
あと、やっぱり「知っている場所やモノ」が登場すると、読んでてアガりますよね。多少の予備知識は、いわば「読み手の予習」になって、作品を一層楽しめるんだなあと両方読んでいて感じます。ぜひ上手に長く続けてもらいたいものです。