ヒトコマラクダの日記

日々読みふける4コマ誌から1コマ引用して日記にします。基本は「自分語り」ですのでご承知おきください。

自分の苦労話を「聞いててくれる」のは、若者の年寄りに対する「対人マナー」だと気付かなくちゃね。

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NEW GAME!」by 得能正太郎 まんがタイムきららCarat 2020年8月号p200 芳文社

 

まあそれでも「純粋に苦労話」ならまだいいんです。大変だったころにどう頑張ってきて現在につながっているのか、とか「勉強になる話」もありますからね。

困るのが「苦労話に見せかけた自慢話」です。苦労したことだけなら「そうだったんですか、たいへんでしたね」でいいんですが、自慢が入っていると「さすがは○○さん、すごいですね」みたいなリアクションが必要になりますから。いえクチでは何とでも言おうと思えば言えるんですが、リアクションが上手ゆえに下手に気に入られたりすると何度も自慢話を聞かされる羽目になりますし、ヒドイ人間だと舎弟じみた関係に置こうとマウントをとりに来るヤカラすらいますもんね。

一方で「この人はホントにすごい」と感じる人もいます。実際にすごい経験をしてたり、すごい才能をもっていたり…それでいてハナにかけるような態度がないとか。もちろんそういう人はそう多くはありませんけどね。

あともうひとつのタイプが「苦労話にも自慢話にもせずに昔ばなしをすること」ができる人。「事実を淡々と」話しつつ、聞き手にいろんなことを考えさせたり、また「いまはどうなの?」みたく話を振って、若手にも自然にしゃべらせることができるタイプです。私なんぞは才能もへったくれも無いものですから、もっぱらこのタイプになれるよう宴席での会話では心掛けています(できてるかどうかは別)。

ただこのテーマになると思うのですが、若者の側も「年長者との酒席で有意義な話ができる」ように努めるべきじゃないかなぁと。おべんちゃらを言えとか議論をふっかけろと言うんじゃないですよ、もちろん。酒席を「もしかしたら良い知恵袋かもしれない年長者から、役立つ情報を得られるチャンス」だと考えれば、面倒な飲み会もいい意味で「これも仕事」と割り切れるかも…うんまあ理想論ですねはい。

 

さておき「NEW GAME!」。二本立て2本目からのヒトコマなんですが、この回ですごいなと感じたのが「ただただEJの3人が飲みながら話している情景だけを描きながら、過去の大事な情報を読者に伝え切っている」ところです。何と「回想シーン無し」なんですよ。でも3人の会話=言葉だけで、EJ創立前後の様子が不思議なくらいリアルに伝わってくるんですよね。これって「画を描く才能」だけじゃできない、「漫画をつくる才能」があってできることだと思うのです。作者さんの力量ですよね。

もう一つ大事なのは、読み手も「これまでのNEW GAME!」を消化してきていることかも。3人の会話に出てくる人物たちへの予備知識は必要でしょうからね。こればかりは「読んできていない人」にはなれないので実感はできませんが、でもだから「4人目としてこの席にいるような気持ち」で読めるのかもしれません。

2度のアニメ化もあって広く知られるこの作品ですが、アニメの良さもさることながら「原作の凄さ」をこういうところで再認識させられます。だってこのシーン、アニメ化が想像しにくいですもんね。まさに「今後も目が離せない」作品です。あと葉月さんいいキャラだホント。