ヒトコマラクダの日記

日々読みふける4コマ誌から1コマ引用して日記にします。旧「田中実(偽)の日記」。

今月の「ぼっち・ざ・ろっく!」は最高!何十年も音楽マンガを読んできて、個人的に「一番シビレた」作品です。

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「ぼっち・ざ・ろっく!」by はまじあき まんがタイムきららMAX 2019年1月号 p28 芳文社

 

ページをめくってこのコマ(というか見開き)を見た瞬間、自分の過去の経験がフラッシュバックして、本当に「時間が止まった」気がしました。

長くなるけどしばし駄文垂れ流しをば…。

 

バンドをやってた人なら、今回の本作にあるような「いつもならこんなことはないのに…」という「本番」を経験したことがあるはず。

演奏の乱れってのは、大抵「誰かひとりがミスる」か「何人かが時間差でミスる」ことでおきるので、残りのメンバーが落ち着いて演奏を続ければ、ほとんどの場合はリカバリーできる。そして終わってから「いやいやマイッタね(笑)」「しっかりしてくれよ(笑)」で済んでしまう。

 

…しかし、ときに発生するのが「全員が自分の演奏を見失う」という事態。

 

全員がオカシくなったときは、冗談抜きで「演奏が空中分解してしまう」ことだってある。ステージは続けなければいけないから、その曲以降もなんとか気持ちを切り換えて演ろうとするけど、一度ズレた歯車は、なかなか戻せないのが現実だ。焦るばかりで一層バラバラ…。

(結局散々なライブで終わってしまい、ステージを降りてからの「お通夜状態」を経験した人も、私以外にもきっと大勢いるだろう。全員に引け目があるので、すぐには爆発しないが、打ち上げの居酒屋で酒が回ったころに「くすぶっていた思いが噴火する」こともままある。)

ヤバいという気持ちは全員が感じるから「落ち着け…周りの音を聞け…っ!」と、それぞれが自分の演奏から気持ちが離れて、他のメンバーの演奏を「柱」にしようと探り始める。でも当然ながら、全員がそれをやるので「まさにカオス!」なことにしかならない。

 

「バンドの屋台骨」は言うまでもなく「リズム隊(ドラム&ベース)」だ。正常に転がっているときは、彼らは本当に頼りになるし、事実彼らという「柱」を中心にギターもヴォーカルも演奏するのが間違いなく理想だろう。

しかし、全員の歯車が狂ってしまったときは、ビートを刻むだけしかできないリズム隊は、意外なほど無力だ。パニック状態になると、ドラムとベースの呼吸がおどろくほど合わないことだって起きたりする。音程の無いドラムと、むなしくシンプルなフレーズを鳴らすベースでは、残念ながらリカバリーすることは困難なのだ。

 

そんなときに、狂った歯車をガッチリもとどおりに組み合わせる力があるのが、実はギターの「リフ」なのである。ギタリストだけが「パニックを起こして空中分解寸前のバンドという機体」をリカバリーさせられる。いや、正確には「リフにのって歌うボーカル」との二人三脚というべきかもしれない。ともかく「非常事態」のときにフロントマン2人の「真価」が問われるのだ。

 

今回、本作を読んでいてフラッシュバックしたのは、かつて自分が経験した、まさに「ギターリフで生還できたライブ」だ。あのときのことは本当に忘れられない。バラバラになっていくさまを感じながら、何とかしなくては…と思ったとき、なぜか「リフをいつも以上にゴリゴリ弾いて」ボーカルの顔を見た。ボーカルがこちらに歩み寄ってくる。自分もボーカルに向かっていく。額をぶつけるようにして、目を合わせる。リフを鳴らす。ボーカルが声で応える。おそらく10数秒間。リズム隊が寄り添ってくる。重なったビートが強く太く響く。全員が感じたあの瞬間は、忘れられない。

 

もとどおり、いやそれ以上に噛み合った歯車のおかげで、そのあともとてもイイ演奏ができた。ステージが終わって、誰も何も「言い訳じみた言葉」を言わなかった。でも笑顔で伝わってくる満足感。

 

幸か不幸か、あのステージ以降、空中分解するような事態はなく、似たような感覚を味わうこともなかった。学生バンドだったので、やがて解散。だから最初で最後。でもたまにあのときの話をすると、みんな笑顔だ。

 

あのとき弾いていたギターもレスポールだった。「リフ」を力を込めて鳴らしたときの自分の姿は、まさに「このコマと同じ」姿だったように思う。フラッシュバックした「瞬間」だ。

 

古くは「TO-Y」「気分はグルービー」「ラグタイムブルース」、少女漫画とくくってしまうにはもったいない「EXIT」、作品名は忘れたが山下和美もステキなバンドを描いていた。「ぼっち・ざ・ろっく!」も、そうした作品…「音の無い紙の上からサウンドが響いてくる」作品となることだろう。

 

…やべー語りすぎた(汗)。

 

ともあれ…バンド最高!「ぼっち・ざ・ろっく!」最高!!

 

 

 

 

…さて切羽詰まっている仕事に戻るぞ(笑)。